【CUBA-10】たらいまわし

次の町「バラデロ」へ行くために、予約しておいたチケットを持って、バスターミナルに向かう。

ホテルからバスターミナルまでは、タクシーで10分、10ドル。
バスターミナルからバラデロまでは、バスで3時間、同じく10ドル。
バス、安い(笑)

僕は、バスが苦手だ。
お腹が弱いので「トイレがない」のと、いざという時「自分の意思で下車できない」ことがイヤだ。
電車や新幹線であればトイレはあるし、もし車内になくても、途中駅で降りればいい。
でも、バスはそれができない。これから3時間、「大」も「小」もできないんだ…と思うと緊張する。

バスは10時発なので、いつもよりも早起きして、朝ごはんを食べ、さっさとトイレを済ませ、バスに乗る1時間前くらいから水分も取らないようにする。
バスは自由席なので、まず一度、窓際の席を確保しておいて、一度下車。ぎりぎりにトイレに行って、再度、バスに乗り込む。

車内では、トイレを意識すると、逆に行きたくなりそうなので、社内ではひたすら音楽を聞いて過ごす。
僕は、こんなにも「トイレ」をケアしているのに、隣に座っている西洋人のお姉さまは、さっきから、1,5リットルのペットボトルで水を飲んでる…。
強気なのか、バカなのか…。

この「VIAZUL」という長距離バスの会社。キューバ各地をつないでいて、とても便利。早めに予約すれば、ネットからでも予約から決済までできる。

おもしろいなと思ったのは、乗車するまでの流れ。
まず、ネットか窓口で事前予約をする。(しなくてもいいけど、割と満席)

そして当日、1時間前にはチェックインカウンターに行き、「予約チケット」を「乗車チケット」に変えてもらう。
これをしないと、なぜか、予約チケットを持っていても乗車できない。とても厳しいのだ。

そして、荷物カウンターにいって、荷物を預け「預かりタグ」をもらう。
のだけど、荷物をカウンターに預ける必要ある?バスの横に各自が持っていけばいいのでは?
そして、「預かりタグ」を発行してくれるのはいいのだけど、荷物を受け取る時には一切チェックしない。これいる?

そんなキューバ人の「決まったことだから、なんも考えてない。そして、あなたも疑うことなくちゃんと従いなさい感」いっぱいのサービスが楽しい。

車窓の「青」にときめく

話はそれたが、音楽を聞いている内に、バスはどんどん進んでいく。
目指す「バラデロ」はビーチリゾートの町なので、バスも海沿いの道を走っていく。時折、車窓から信じられないほどの「青」が目に入ってきてワクワクがどんどんあがっていく。暇なので、心の中に「欽ちゃんの仮装大賞」のスコアボードみたいなものをイメージして、「ピ、ピ、ピ、ピーーーん!ワクワク度100点満点です!!」ってひとりで楽しむ(笑)

「もしかすると、途中1回くらいトイレ休憩があるかなー」という期待は、あっさり裏切られて、バスは3時間、ノンストップで進んでいく。
水をがぶ飲みしていた隣の西洋人さんは、まったくトイレに行きたそうな気配もない。僕よりも体は小さいのに…。きっと、体の造りが違うんだ。やるな西洋人。

「僕はそろそろトイレに行きたいな…」と思い始めた頃に、バスは到着した。予定時間よりも30分も早い。
やる時にはやるのかキューバ人!もしくは「キューバ人やるな!」と思わせるために、あらかじめ長めの時間を伝えておいたのか。どちらでもいいけど、トイレは間に合いそうだ。よかった、よかった。

バスから降りたら、ホテルに向かうタクシーを探す。
少しでもタクシー代を安くしたいなと思い、白人男性がひとりで立っていたから、僕は「○○という所までいくけど、一緒にタクシー乗らない?シェアしようよ」と誘ってみたのだけど、「僕は歩くから大丈夫」とつれないお返事。まあ、ホテルは近いんだけど、この炎天下の中、キャリーバッグを引きずって歩きまわれるほど若くはない。

まさか、ホテルでたらい回し

バスターミナルからホテルまではタクシーで5分。ずっと、海沿いの道を走ってくれて、ほんとにテンションがあがる。早くビーチに行きたい!

この町でのホテルは、日本で予約しておいたのだが、チェックインカウンターに行ったら、「ここじゃない。隣のホテルだ」と言われる。「イヤ、ホテルの名前は合ってるじゃん、ここだよ!」とすがりつくも「イヤ、ここじゃない!」の一点張り。

タクシーの人が待ってくれてて「ついでだし、隣と言っても歩くには遠いから」と送ってくれた。ただで。こういうところ優しいよね、キューバ人。

隣のホテルは、予約しているホテルとは名前が違う。
「ここじゃないよね?」と玄関先にいるスタッフに、ネットの予約画面を見せると、その人も「ここじゃないよ!隣(さっき、いたホテル)だ」と言う。
なんだ、なんだ!また戻らないと…。タクシーはもう行ってしまった…。歩くか…暑いのに…とやさぐれてたら、ホテルからスーツを着たちょっと役職の高そうな人が出てきた。
再度「これって、このホテル?」って聞いてみたら、「ああ、このホテルだよ!カウンターに行って!」だって。まじか…。真実はなんなんだ…。どっちでもいいから、俺に部屋をくれ。

チェックインカウンターに行ったら行ったで、また「これ、うちじゃないよ。隣!」とか言われる。「え、そんなはずはなくて、ここだと思うんだけど…」と食い下がると、パソコンをカタカタして「あ、うちだった」って。マジかーーーこのホテル。ちょっとおもしろいぞ。
あとで分かったんだけど、同じ敷地内に、ちょっとお高めのホテルと、カジュアルなホテルの2棟があって、予約の内容で振り分けられているらしい。僕は、ちょっといい方のホテル(と言っても、1泊1万円くらいだけど)

これ、全部生きてる本物の植物!

太っちゃうぞ、このホテル。

部屋に入るにはまだ早いということで、キャリーバッグだけ預けて、早速、海に!と思うのだけど、まずは、お腹がすいた。

ここは「オールインクルーシブ」と言って、ホテル代の中に、3食の食事から、軽食、お酒、アクティビティまで、すべてが含まれている。つまり、スキな時にスキなものをスキなだけ食べて、スキなことをして遊べるという夢のようなホテルなのだ。

チェックイン前だけど、左腕にビニールでできたブレスレットを巻いてもらう。これがあることで「なんでも」のサービスを受けられる。早速、ハンバーガーとキューバビールをいただく。これは確実に太っちゃうね。西洋人には夢のようなホテルだな、きっと(←偏見)

お腹も満たされたところで、早速、ビーチへ。
ホテル内にあるプールの横を通ると、白人さんがビーチチェアに並んで寝てた。昔、ニュージーランドの海でみた「トドが日向ぼっこ」しているのを思い出してしまう。申し訳ない(笑)
と言っても、僕もそんなに変わらない「中年のお腹」をしてるので摂生しなくては。

ビーチにでると、果てしなく続く真っ白なビーチに、ヤシの木などでつくられたビーチパラソルがたくさん並んでて、頭の中にある「南国のビーチ」そのものが目の前にあって、南国感が半端ない。

なるべく賑やかなグループがいない所に陣取って海を目指すのだが、こういう時に一人旅は辛い。現金やパスポートが気になって思う存分楽しめない。
と思って、今回は、少し工夫をした。ファスナーで口が閉じれる革バックと、ワイヤーロープと南京錠を持って来たのだ。ワイヤーロープでバックとパラソルを固定。さらにファスナーの持ち手も一緒に南京錠で固定すれば、よほどの道具がないと開けられない状態に。でも「ここに貴重品がありますよ!」と言ってるようなものだから、カバン自体が見えないように、大きめのタオルで覆って隠す。これで思う存分、海が楽しめる!!

普段、運動をしてないから、ちょっと泳ぐだけで息があがる。少し悔しい気もするのだけど、リラックスしに来たのだから、ここでがんばらなくてもいいなと思い直し、温泉に入るかのように、海に浸かる。

フリスピーで遊んでいたオランダ人若者のグループに混ぜてもらったり、ヘミングウェイのキューバを舞台にした小説「老人と海」を読んだり、ちょっと昼寝したりしながら、あっという間に陽は沈んでいく。
昼間はめちゃくくちゃ暑いのだけど、日が落ちると急に寒くなる。さっさと部屋に帰ろう。

スタッフの優しさに包まれる晩ごはん

晩ごはんは、バイキングのレストランか、予約制のイタリアンか、ハンバーガーなどの軽食から選べる。明日の夜をイタリアンにすることにして、今日はバイキングに行ってみる。

「まぁビーチリゾートホテルだし、ひとりで泊まってる変わってるやつは俺くらいだろうなー、肩身が狭いなー」と思っていたら、本当に僕一人だった。100人は軽く収容できそうなレストランに、ひとり客は僕だけ(笑)一人旅のやつは、こんなホテルではなくって民泊に泊まってるんだろうな。ちょっと楽しいぞ。

豆ご飯。なかなか美味しい。
スポンジ部分に砂糖水を吸わせているのでは?と思うくらい甘い。

ひとりだから気を使ってくれてるのか、もともとサービス精神が旺盛なのか、スタッフが入れ替わりで声を掛けてくれる。「大丈夫?」「いい感じ?」「何か飲み物はいる?」って。
こうして気にかけてもらえることは、とっても嬉しいのだけど、ビールが進み過ぎて困る。

東京という都会に住んでいると、こんな「小さなかかわり合い」が本当に少ない。会社を離れてしまえば、翌日の出社まで誰とも話さないという人も多いだろう。
行きつけのお店や、商店街なんかがあって、「おかえり!」「ただいまー」なんて会話ができるだけでも、心は満たされるだろうな。もしかすると、それだけで防げる自殺もかもしれない。大きなショッピングモールができて、商店街がなくなってくことの罪はこんな所にも出てくる。
こんなコンセプトでカフェをオープンしようかな。

おいしいビールの継ぎ方を教えてもらったり(なんか機械が特殊で難しかったの)、「この肉料理がおいしいから食べろ!」「日本は桜が綺麗なんだろう?」「なんでひとりなんだ?ふられたのか?」とか、他愛もない話でスタッフと盛り上がる。楽しい時間だ。ここではキューバ音楽の生演奏はしていないから、ゆっくり話せていい。

すっかり食べ終わって、食後の紅茶まで頂いて、そろそろ席を立とうかなと思っていたら、何回も何回も、僕の様子を見に来てくれていた女性スタッフが、ちょっと深刻な顔をして近づいてきた。
「どうしたの?」と声をかけると、「お願いがあるの。この米ドルをキューバのお金に変えてくれない?」って。
きっとチップとかでもらったんだろう。ちょっとクシャクシャになった1ドル札を10枚くらい手にしてる。
キューバでは、米ドルからキューバのお金に両替すると10%の手数料を取られる。日本に帰れば普通に円に両替できるから、僕は全然困らない。両替手数料分くらいは損をするだろうけど、まあ、心地よく関わってくれたし、僕からのチップだということで、気持ちよく両替してあげる。

そしたら、よほど、嬉しかったのか、これまでよりも少し大きなグラスにビールを注いで持ってきてくれた(笑)
いや、もう飲めないし…。

ロシア人のおばさまと…

レストランを出て、ホテル内を散策してみる。奥の方にいくと、クラブみたいなところがあって、みんなでキューバのダンスを踊ってる。ステップの踏み方教室みたいなこともしてる。これは楽しそう!ということで、一緒に踊ってくれるパートナーもいないのに、図々しく参加してみた。

キューバ音楽には、独特のリズムがあって、ステップがなかなか難しい。快く僕とパートナーになってくれたロシア人のおばさまと一緒に、なれないステップを踏む。うまくできたらできたで楽しいのだろうけど、うまくできないのも楽しい!ロシア人のおばさまとも、一言も会話は成立しないのに、すっかり仲良くなる。

こんな時、つい「できるかなー」「恥をかかないかな」と及び腰になるけど、そんな心配しなくていい。「旅の恥はかきすて」とも言うけど、みんなはじめはできないんだ、恥ずかしいことなんて何もない。うまくできるかどうかなんて、人生を楽しむ上では、ほとんど関係ない。というか、できない方が人生は楽しめる。

気づけば、小一時間も踊ってた。汗だくだ。ロシア人のおばさまに「明日も遊ぼうね!」と別れを告げて、ひとりでバーに。
ライムとラムがしっかり効いたモヒートを頂いて部屋に。
相変わらず「ジョロジョロ」としか出ない水シャワーを浴びて、いつものように、眠りに落ちるまでのパートナーとして、本を片手にベッドに入るも、本を開くこともなく、泥のように眠る。

今日も、いい一日だった。おやすみ。

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つづく…