【CUBA-07】博物館で怒られる

オールド・ハバナの町並み

キューバ3日目。
今日は、まずやらないといけないことがある。明日から2泊分の宿がないのだ。それを探しに行かないと。
せっかくなので、「オールド・ハバナ」とよばれる昔ながらの町並みが残る辺りを散策しながら宿を探すことにする。
と言っても、まだ午前中で、前のお客さんがいて部屋を見せてもらうこともできないだろうから、まずは博物館に行こう。「革命博物館」だ。

革命博物館は、泊まっている「プラザホテル」から徒歩で5分もかからない所にあって、本当に「厳か」という言葉がピッタリくるスペイン様式の美しい建物。

革命博物館の天井

入り口を入っていくと、係員さんが立ちはだかっていて、無言でチケットカウンターを指さされる。アンティーク感満載のレジの前に座るやたら陽気なお姉さまにお金を払う。
そのまま中に入ろうとすると、スペイン語で何かをまくしたてられる。何を言ってるかほんとに分かんない。じっくり聞いてみたら、どうやら、肩から下げているバックを預けろとのこと。展示物はすべてガラスケースの中に入ってるから、盗めるものもないだろうに、不思議なものだ。
この後、別の博物館では、ガラスケースに入っていない物がたくさん展示されていて、その気になればカンタンに盗めそうなのに、そこではバックは何も言われなかった。
こういうところ、好きだよ。キューバ人。

館内は、カストロ、ゲバラ、カミーロを中心に遺品や写真などを展示し、革命戦争を説明してある。
カストロやゲバラは、高校生くらいの頃から好きで、彼ら自身が書いた本などをたくさん読んできた。
数年前にはよくできた映画(「チェ、28才の革命」「チェ、39才別れの手紙」)も公開されているので、「あ、これ、あのシーンの写真だ!」「あ、これ、あの時の物だ!」とか、バーチャルとリアルが交わりワクワクする。
旅先で何かを見る時って、その背景を深く理解していると楽しいよね。これ、旅を楽しむ大切なコツだと思う。

意外だったのが、写真に映ってる兵士達が、みんな笑顔なこと。笑顔の時を狙って写真を撮ったのか、笑顔の写真だけを展示しているのかもしれないのだけど、人と人が殺し合うというとても過酷な環境の中で、何をもって笑顔になっていくんだろう…と、そんなことが気になる。
このコツが分かれば、今の世の中なんて、ずっと笑顔でいきていけそうだ。なんだろうな。

展示のほとんどがスペイン語なので、何が書いてあるかは分かんないんだけど、なんとなく言いたいことは分かる。「俺たち、やったよね!」ということと「アメリカ嫌い」ということだ。
撃ち落としたアメリカの飛行機の破片とかもおもむろに展示してあるんだけど、それがガラスケースとかには入ってない粗末な扱いをされていて、本当にアメリカ嫌い(うまくいってない)なんだな。

ゲバラとカミーロの像を眺めるカストロ

展示の最後の方には、ゲバラとカミーロの実物大の人形がおいてあるんだけど、その近くには、その模型を眺めるカストロの写真が飾ってある。志を同じくして、亡くなっていた仲間の姿を見て、何を感じるんだろうと想像してみるも、まったくイメージもできない。志と時間を深く共有した人たちにしか分からない想いがきっとあるんだろうな。そんな関係をつくれて羨ましい。

自分を含む、同じ国に暮らす人達の未来を憂いて、命をかけて革命を起こしていく。その過程ではたくさんの命も犠牲になって。「戦争」という面で見るととても悲しいことだし、話し合いで解決しないことがあるという事実もまた、僕を苦しい気持ちにさせる。
しかしながら、「命をかけてでも成し遂げたいことと出会える」ということは、本当に豊かなことだろう。
つい、食べる、寝る、性的欲求を満たす、着飾る…など動物と変わらないことの中に豊かさを求めがちだけど、空空漠漠と命を浪費するのでなく、「命の使い方」に意味が生まれるということは、人として豊かだと思える。
少し羨ましくもあるが、この現代日本でも、同じ生命の使い方はできるはずだ。しっかり考えてみたい。

グランマ号

建物内を見終わると、「乗り物」がたくさん展示してある中庭に出る。
メインの展示物は、キューバ革命の時、カストロ達がメキシコからキューバまで海を渡る時に使ったボート。残っているんだね!しかもきれいに修繕されていて新品みたいにきれいだ。いや、こういうものは、そのままの方がいいのでは…。こういうところ好きだよ、キューバ人。

この「グランマ号」という名のボート、12人乗りなのね。そのボートに、なんと82人も乗って海を越えたそう。なんてことを…。その時の様子をゲバラが日記に残しているんだけど、ほぼ遭難だったらしい。(笑)高尚な政治思想を掲げながらも、若いから、ノリと勢いみたいなところもあったんだろうね。

グランマ号は、さすがに大切なものなんだろう、ガラス張りの建物の中に厳重に収められていて、周りを2-3人の軍人さんが見回りしていて、ちょっとガラスに触れただけで怒られた。

銃弾の跡だらけ

ガラス張りの建物の周りには、革命戦争の時の飛行機とか戦車とか、車とかが野ざらしに展示されてる。
銃で打たれた跡が生々しい車なども展示されていて、映画で見たシーンが画面の中ではなく、現実に起きたことなんだと再認識させられる。
ちなみに、この車とか飛行機とか、野ざらしにしてあって、あまり大切じゃない扱いなのに、ちょっと近づいただけで先程の軍人さんに「もっと離れなさい!」って怒られる。

それくらい厳しく管理されているものなんだけどさ、この中庭全体を囲うフェンスがとっても低くて、夜にはカンタンに入れちゃうんだよね。向こう側なんて、フェンスすらない。夜に来れば触り放題だ。
大切なのか、そうじゃないのか、よく分からない。
しつこいようだけど、こういう「ちょっと抜けてるところ」が好きだよ。キューバ人。

こういうシーンを見ると、きっと治安がいい国なんだろうなーと感じる。町中を走ってるクラッシックカーも、屋根がなかったりするから、夜、駐車しているとイタズラされたり盗まれたりしそうなものなのに(実際に鍵がなくても盗むのは難しくない)普通に、道端に停めてあるんだよね。
悪いことを考えるやつはいないんだろうね。そう考えると、この「悪いこと」を思いついちゃうあたり、僕の方が治安は悪いのかもしれない。

ホテルを求めて散策

小さなピザ屋!この後で焼いてる

ちょうどお昼になってきたので、博物館を出て町中に行ってみる。何か現地の人が食べてるものはないかなーと散策してみると、人だかりができてるお店がある。4畳もないくらいの小さなお店。

なんだなんだと並んでみると、どうやらテイクアウト専門のピザ屋さんみたい。キューバの人って、ピザが好きなんだね。
店頭に貼られているメニューには、いろいろな種類のピザが書かれているのだけど、どれも読めない。グーグル翻訳に頼ってもわからない。
仕方ないので、「前の人と同じやつで!」というジェスチャーで乗り切る。空港とか警察とか、ちょっと小難しい会話が必要な場所以外は、ジェスチャーでなんとかなるもんだ。
さっき、博物館で「トイレ」が伝わらなかった時も、股間に手を当てトイレをする仕草をしたら、すぐに伝わった。しかも、ジェスチャーの方が相手も笑顔になったりして仲良くなれるからいい。

まさかの2日連続のピザだけども、昨日のプレーンピザは5ドル。今日のプレーンピザは1ドルでお釣りが来た。素材が違うのかもしれないけど、僕は今日のピザの方がおいしく感じる。店の周りで立ち食いしているキューバ人にまぎれて、薄味の「キューバ・コーラ」と共に頬張る。僕もハバナの景色になれてるだろうか。

右手前の水色の建物がCASA。錨マークが掛かってる。

キューバには2つのホテルがある。
1つは国営のホテル。今、泊まっているホテルも国営らしい。いろいろなランクがあって、ビジネスホテルみたいなものから、超豪華(っぽい)ものまで。価格も日本のホテルとそんなに変わらないくらいだ。外貨を稼ぎたい国だから、そのあたりの物価の高さは仕方ない。

もう1つは、いわゆる民泊みたいなもの。「CASA(カーサ)」と呼ばれていて、キューバに住んでいる人が、自宅の一部屋をツーリストに提供しているもの。こちらは2000円~といった感じ。CASAもネットで予約することもできるのだけど、こういう部屋の快適さは、設備の良し悪しよりも、オーナーの人柄によるところが大きい。多少、お湯がでなくても、気心しれて、愉快なオーナーの宿がいい。ネットでは人柄が分からないので、今回は自分の足で歩いて探すことにした。

CASAは「多い錨のようなマーク」を玄関先に掲げているので、ノックして(10分くらい出てこない。不在なのかなと諦めた頃に出てくる)部屋を見せてもらい、オーナーと話をして決めていく。2-3件も見れば、いい宿があるだろう。と思っていたら、なんと1件目から素敵な宿に当たる。街のど真ん中なんだけど、ちょっとだけ通りから奥まっていて、騒音も聞こえない。1人で過ごすには持て余すほどの広さ。ベッドもクイーンサイズが2つ。お湯も出そうだ。オーナー夫婦も人が良さそう。しかも1泊2000円。これはいい!後で荷物を持ってくることを話して、早速チェックインする。

ネットで、キューバ人の平均月収を調べてみると、なんと3000円くらい。お医者さんでも1万円もいかないそう。
社会主義国なので、「生きる」ことの基本的なものは、全部無料で提供される。ご飯も、住まいも、病院も、学校も、基本的にはすべて無料。でも、実際にはそれだけではお腹は一杯にならないらしく、少ない稼ぎをもって食べ物を買っているらしい。
日本の平均月収は35万円。なんとキューバの100倍!そんな日本人が、キューバを旅させてもらってるんだ。単純に「安いから」という理由で、現地の人と同じものを買っていたのでは、申し訳ない。心と財布が許す範囲でお金を落として帰ろう。

一度ホテルに戻り、荷物をもって新しい宿へ。荷物を部屋に投げ込んだら、もう少し、街を散策してみることにする。

足には、すでにたくさんの水膨れ。今回、履き慣れたはずの靴を持ってきたのに、もうこれだ。足は「休みましょうよー」としきりに言ってくるのだけど、好奇心が抑えられない。

ごめんね、足ちゃん。

つづく…

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