
なんとか、仕事の都合をつけて、20日間の旅時間を確保できた。
さっそく、色々と手配をしていくのだが、この時間って本当に楽しい。
脳科学者の茂木さんだったと思うのだけど、「人の脳は、旅を計画するだけで、実際に旅をするのと同じ癒やし効果がある」らしい。
これが本当なら、僕は年中、旅をする妄想をしてるから、ずっと能天気な気持ちでいられるんだな。
今回の旅のスタイルは、昔、バックパッカーをしていた時のように
「行き当たりばったり」の旅にしようと思う。
ここ最近は、リゾートホテルとか、クルーズとか、事前に予約をしてきっちりと「こなしていく」旅が多かった。それもいいのだけど、それでは得られないものがある。今回は、そこを欲している。
リラックスをしたい訳でも、単純に楽しみたい訳でもなく、色々な意味で「頭を悩ませたい」のだ。そんな経験がほしい。
そこで今回は、宿も予約せず、行く街も決めず、街の雰囲気と偶然の出会いに導かれる旅だ。
ネットで色々と調べてみると(本当に便利な時代だ)、キューバには「CASA(カーサ)」という民泊制度があるらしい。
これはいい!キューバ人の生活にも触れられるし、1泊3000円くらいと手頃だしね。しかも、CASAはたくさんあるから、予約をする必要もないとのこと。
僕のような人にはうってつけだね。
ということで、まずは飛行機だけを予約する。
しかし!!
なんと、飛行機がどの便を選んでも、夜中23時に到着しかない。23時に着くと、荷物を拾ったり、出国したり、両替したりしていると、街に出るのは24時を軽く超えるだろう。
そんな時間から宿探しをする元気もない。バックパッカーをしていた20代半ばの頃なら「それも楽しい!」と思えただろうけど、もう40も越えた。
素直に「1泊目だけは、ホテルを予約しよう」と思うあたりに、老いを感じる。
話は少し逸れるが、20代と40代で、長期の旅をするのは、「人生」というものに、本当に大きな影響を与えると思う。
何も知らない真っ白だった20代に見て感じる世界。そして、ある程度、世の中のことを知り、色眼鏡ができてきてから見える世界。同じものを見ても、違うことを感じるだろう。40を越えて旅をすると、昔のようには無茶もできないけど、きっと、20代の時には見えなかったこと、気づけたかった細かい人の心の機微にもふれることができそうだ。
と自分を納得させつつ、1泊目のホテルを予約する。東京という大都会の真ん中にいて、小さなスマホの画面一つで、遠いキューバのホテルが予約できるなんて、本当にすごい世の中だ。しかも、財布すら開いてない。
せっかくなので、1泊くらいはと、キューバの中でもトラディショナルなホテルにしてみた。なんと創業して100年以上になるらしい。この選択を後から後悔することになろうとは、この時は微塵も思わない。ワクワクでいっぱいだ。
友達を紹介してもらう。
今回、旅の目的が「新しい世界にふれる」なので、キューバの観光地を巡る旅ではなく、「キューバの生活にふれる旅をしたい」と思っている。
でも、実際のところ、旅人と現地の人の間には大きな見えない壁があって、あちらに近づくのはカンタンではない。
旅先で話しかけてくる人なんて、殆どが騙そうとしてるやつだろうし、相手の生活の中に入っていけるほど仲良くなるのは、ほんとに難しい。でも、触れたい!
そこで、ダメ元でフェイスブックに「キューバに行きます!キューバに詳しい人がいたら紹介してほしいです!」と投稿してみた。
さすが、世界をつなぐネットワーク!!
その記事を見た友達がメッセンジャーをくれた。内容は「僕の友達が、キューバの大学に通ってました。紹介できます!」だって!
なんてこった!なんて素敵なんだ!!
すぐに「すぐに会いたいです!」とお返事をして、彼女の住む街「横浜」でお会いすることに。
あれだけアジアを旅してきた僕でも、少しハードルが高いなというイメージがある「キューバ」。そこに行ったことがあるくらいではなく、何年も「住んでいた」人。しかも女性!どんな人なんだろうと興味津々。
きっと、会った瞬間に背骨が砕けそうなくらいのアツいハグをしてくるに違いないとか、影に入ったら姿が見えなくなるくらい日焼けしてるに違いないとか、民族衣装っぽいダルダルでカラフルな織物系の服を着てるに違いないとか…、勝手にイメージは膨らんでいく。
しかし、横浜駅で待ち合わせた人は、いい意味で、拍子抜けするほど普通な人だった。とても柔らかそうなスマートな印象を与える爽やかな女性。
期待を裏切られたんだけど、どこか「ほっ」とした気持ちで、いきなりハグも握手もしてこないし、目も合わせることなく、ズケズケと踏み込んでこないあたりに、とても大きな親近感を抱く。この人、同じ匂いがする。
その「ゆかり」さんから、キューバのあれこれを教えてもらう。この街は素晴らしよ。こんな経験ができるよ。この場所やお店もおすすめ…。ガイドブックすら買ってなかったので、本当に参考になる。
そして、「キューバ人の友達がいるから紹介できる。きっと色々と連れてってくれると思う。宿(CASA)をやってる友達ともつながるから、予約もしてあげれる。どの街にいつ行くか、日程を決めて連絡して」と。
なんて親切な人なんだ。さっき会ったばかりで、僕のことをほとんど知らないはずなのに、親切心が全開だ。こういうタイプの人、本当に好きだなー。
今回は、行き当たりばったりの旅にしようと思っていたから、日程を決めることに少し悩んだのだが、これもご縁だからと、ゆかりさんに流されてみることにする。行き当たりばったりの旅もいいけど、こうして「他人の力に乗ってみる旅」も悪くない。自分の力ではできない経験ができそうだ。こうして、ゆかりさんに友達の紹介と、宿の手配をお願いすることになる。

ツーリストカード?なにそれ?
ゆかりさんと会った時に「【ツーリストカード】というのがないと入国できないんだけど、行きの飛行機の中で配ってるから、日本で手配しなくても大丈夫」
みたいなことを言われた。「必要ない」と言われてたので、僕の頭の中では、その存在すら忘れてた。
しかーーーし!出発3日前になって、なかなか寝付けない夜に、スマホでキューバ情報を見ていると、なんと「メキシコ経由では、機内では配布していない。メキシコの空港でも取れる時もあるけど、不確定だから日本で用意した方がいい」と書いてある。
「あらー」と、急いでキューバ大使館へ。東京に住んでてよかった。
ツーリストカードの申請に必要なものや手順など、ネットで調べても情報が錯綜しててよく分からない。大使館からの正式なインフォメーションも見当たらない。迷惑かなーとも思ったのだけど、直接電話して確認。手慣れた対応で教えてもらえた。ホームページに掲載すれば、職員さんの手間も省けるのにねー。
大使館では、壁にゲバラとカストロが話をしている写真が飾ってあったり、居合わせたキューバ人のテンションの高さと陽気さに、ワクワク半分、うざさ半分な微妙な気持ちになりながら、キューバの風を先取り。ツーリストカードを手に入れる。ちゃんと用意して行けば、あっさりと10分もかからずに発行される。
けど、窓口の職員さんは、電話に追われてた。だから…(笑)
出発前日。むりやりスケジュールを確保したので、仕事が忙しく、出発前日の夜中にパッキング。
ゆかりさんから、キューバ人の友達に渡して欲しいと頼まれた「豚骨ラーメン」がボロボロにならないように気を使う。そして、僕からのプレゼントとして「THE 日本」的なポストカードも用意した。
宿の手配をお願いしているゆかりさんからは、まだ宿の情報は来ない。ちょっと不安になりながらも、きっとこれがキューバの時間の流れ方なんだろうと自分を納得させる。
思えば、こんな「ゆったりした」気持ちを味わいたくて旅にでる面もあるのに、きっちりしていないことに不安になるなんて。海外を旅するとか、人生の大切なイベントを味わうとか、色々な経験を重ねていくことで、「許せる」ことが増えてくる。ある意味、これが「人の器」というものなのかも。器が大きい方が、池取れる幸せも大きくなりそうだ。この旅で、僕の器はどんな広がりをするのか。本当に楽しみだ。
さあ、準備は万端。いよいよ出発だ。